活動を始めた当初は確固たる信念や目的があったわけではなく、ただGISTとなった家族を救いたい、その一心でした。そのために情報を集め、それを共有しているうちに自然と仲間達が集まるようになりました。そうすると何が足りないのか、何を要望していかなくてはならないのか・など、患者グループとしての目的が見えてくるようになり、具体的に行動する任意団体「GISTERS」としての活動がスタートしました。
GISTERSは縦の関係ではなく、患者さんやご家族同士の横の繋がりをとても大切にしています。
罹患したばかりの頃、あと何年生きられるのか?と未来を悲観された方も多いでしょう。私自身も妻の余命宣告を受けた時には、暗闇の中から抜け出せなくなったことがあります。そんな時にある患者さんがかけてくださった言葉「大丈夫、奥さんは必ず助かりますよ。私も薬を飲んでから嘘のように回復しています。どうか私を見てください」この言葉がおまじないのように効き、勇気と希望を持てた経験があります。その方は海外の女性のGIST患者さんで、グリベックを服用して2年以上お元気にされている方でした。罹患間もない者にとって、2年もお元気にされているその人はまるで神様のような存在に思えましたし、彼女の経験からのお話は沈み込んでいた私に勇気と生きる望み・希望を与えてくれました。
GISTという聞き慣れない「稀少がん」と診断され、不安と悲しみに囲われてしまったとき、それを打ち消してくれるのは先を歩く患者さん達の生の声です。それは「まだ生きられる、希望が持てる」という「説得力」のある証拠です。
患者はその経験を伝えることで、後に続く患者さんやその家族に希望を与え、勇気付けることができるのです。
そんな繋がりを日本中に広めたい。それがGISTERSの目的のひとつであり活動の原点でもあります。今日相談していた人が、次の日には別の相談者を励ましている、そんな「繋がり」は15年以上の時を経て、今では自慢のネットワークに成長しました。患者さんひとりひとりがGISTERSの大切な主役であり、その経験がGISTERSを支える基礎となっています。
勇気を持てたなら、次は戦略です。
どのようにこの病と闘っていくべきか、正しい情報・知識を得ながら戦略を練る必要があります。
病気の事だけではありません。地域の専門医の情報、生活を支えるための支援制度、エビデンスのない治療法についての正しい知識、正しい情報の探し方、などについても私達は学んでいかなくてはなりません。
GISTERSでは地域ごとにこの問題に向き合いたいと考えています。すでにNPO法人では、地域ごとに話し合いの場を作り、地域のメンバーが主体となって、セミナー開催や情報交換会の企画と開催を実施しています。
戦略が立ったら、次は武器の調達です。
GISTでは3つの薬剤が治療薬として承認を受けており、4つ目の治療薬もPhaseⅢ試験に進んでいますが、完治させる薬は未だ登場していません。GIST治療は薬に依存する部分が大きいため、私達は常に次の薬を待ち望んでいます。
NPO法人GISTERSでは、製薬企業、厚生労働省への要望を継続して行ってきましたが、国内だけでなく海外で開発中の薬剤についても、今後その誘致に取り組みたいと考えています。
また、今後日本でもゲノム解析によるPrecision Medicine(精密医療)が がん治療の主役になっていくでしょう。患者さん達が新しい治療や制度の中で道に迷う事の無いよう、常に正しい情報、正しい知識の提供を行っていきます。
Activity policy4 無理なく、ですが継続して情報を得ながら学び、知り、伝えていく事が患者力を高めていきます。私達は そのお手伝いをさせていただきます。
・・・そんな私達にも、時には息抜きも必要です。
薬による副作用など、治療を続けることでストレスも増えるかもしれません。
時にはそんなことから開放されて楽しくやりましょう。
セミナー後の懇親会、定期的な交流会、突発的なお誘いで開かれる会など、自発的なものも含めた企画の多さもGISTERSの売りのひとつです。交流会はただ楽しくおしゃべりするだけではなく、副作用への独自の対処法、掛かっている医師の手法などについて情報交換をする場でもあります。GISTの治療は長期に及ぶことも少なくありません。仲間達と一緒に学び、語り合い、時には励ましあって歩んでいきましょう。
GISTERS・・草野球のチーム名のようなネーミングですが、元々は2006年に日本で初めて開催された「リレーフォーライフ・ジャパンinつくば」へ参加するために皆で考えた名前、つまり本当に「チーム名」としてつけられた名前でした。
「GIST」という稀少がんを知ってもらいたい。自分たちは患者で、治療薬の副作用や合併症もあるけど、こんなに元気に歩いているよ、という事をみんなに見てもらいたい、知ってもらいたい。全国のGIST患者さん達にその事を伝えたくて、このチーム名が選ばれました。
その甲斐があって、行く先々で「ジスターズの皆さん」「ジスターズさん」と呼んでもらえるようになり、「GISTERS=GIST患者グループ」という認識が定着してきました。
さて、困ったのはNPO法人を設立した時です。法人名をどうしようか?とても迷いました。
ですが、やっと定着してきた「GISTERS」もちろん愛着もあって、結局はそのまま「GISTERS」でいくことに決めました。
実は海外の患者会の方々には、GIST患者さん達を表す「GISTers」を大文字表記で団体名にしている事が少しユニークに感じられるようです。そういう意味では実に日本的なネーミングだったと言えるかもしれません。
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2003年
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GISTERSの主な活動
現理事長の家族がGISTに罹患した事をきっかけに、インターネット上でGIST患者の交流、情報交換を目的とした「GIST患 者のための情報ページ」の運営を開始。小田島氏より「GIST掲 示板」の運営を引き継ぐ。
イマチニブの早期承認を求める署名活動(代表:小田島一久氏 署名総数62,064筆)を厚生労働大臣宛てに提出
9月、リレーフォーライフつくばへ「GISTERS」として参加。10月より任意団体として活動を開始。
2007年以降は現地メンバーが各地のリレーフォーライフの運営に参加、同時にチーム参加も続けている。
スーテントの早期承認を求める署名活動
(署名総数134,739筆)を厚生労働大臣宛てに提出
GIST・肉腫患者のための独自のSNS(ソーシャルメディア)として「GISTERS.net」を開設。
GIST研究会(現稀少腫瘍研究会)との共催による患者勉強会開催を開始。
現在も年1~2回のペースで継続しており、各地の施設、医師、個人のご協力により開催地の数も年々増えてきている。
日本臨床腫瘍学会学術集会の患者参加枠
PAP(Patient Advocate program)へ参加
以降、毎年参加を続けている
日本癌治療学会学術集会 患者参加枠
PAL(Patient Advocate Leadership)でポスター発表
以降、毎年参加を続けている
任意団体発足から7年後、NPO法人GISTERSを設立
スチバーガ(レゴラフェニブ)の早期承認、承認前の医師主導治験の実施を求める要望書を、それぞれ厚生労働省、製薬企業、国立がん研究センターへ提出。スチバーガは承認前に医師主導治験が実施され、日本版コンパッショネートユースの第一号となった。
厚労省「希少がんの医療、支援のあり方に関する検討会」へ構成委員として参加。
認定NPO法人キャンサーネットジャパン主催「Japan Cancer Forum」へ出展 以降毎年参加
国立がん研究センター希少がんセンターとの共催による患者セミナーを開催(築地キャンパス)
認定NPO法人キャンサーネットジャパンとの共催によるGISTセミナー開催(ビデオ録画配信)
希少がん患者会の連合
「日本希少がん患者会ネットワーク:RCJ」へ参加
GIST患者会の世界会議「NEW HORIZONS GIST 」へ参加
4次治療薬の早期承認を求める署名活動を開始
4次治療薬の早期承認を求める署名活動を続行
(署名総数 31,764筆)を厚生労働省へ提出
横浜・仙台でGIST患者セミナーを初開催
2月 国がん東病院でセミナー&シンポジウム開催
以降、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の
拡大防止の観点より、患者会の集会、セミナー、
啓発活動を自粛
その年の話題
セミナー開催実績
➀神奈川県・横浜市 ②大阪府・大阪市 ③千葉県・柏市 ④⑤東京都・中央区・千代田区 ⑥北海道・札幌市 ⑦⑧福岡県・福岡市・北九州市 ⑨熊本県・熊本市 ⑩石川県・金沢市 ⑪兵庫県・西宮市 ⑫宮城県・仙台市
開催協力
希少がんMtE(国立がん研究センター 希少がんセンター主催)
GIST(消化管間質腫瘍)患者会(川崎医科大学附属病院 がんセンター主催)
後援・共催
広島(GIST・肉腫おしゃべり会)
GISTERS北海道
GIST患者と家族の会・九州(GISTERS九州)
Gnet金沢の会
GISTERS東北
GISTERS神奈川
参加学会実績
日本癌治療学会 日本臨床腫瘍学会 日本癌学会 日本肉腫学会 日本緩和医療学会 日本サルコーマ治療研究学会
日本癌治療学会GISTガイドライン改定ワーキンググループ